[柔术爱好者文章迁移] 軟体詰め&搬送プレイ

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#1

さっきまで部屋にいたはずの彼女の姿が急に見えなくなっていたら何の可能性を考えるだろうか。

一番あり得るのはトイレで席を外しているということだろう。次が電話がかかってきてベランダなどに出て行った、か。

あるいは、茶目っ気のある彼女なら、部屋のどこかに隠れて驚かそうとしているということもあり得るかもしれない。

最悪の想像だと何も言わずに帰ってしまったとかもあるかもしれない。

オレの場合、その心配はしておらず、理由も大体わかっていた。

さほど広いわけでもない部屋の中なのだから、そんなに隠れたり出来るようなところはない。だが、彼女の場合思いもかけないところに入る可能性があった。

オレは不用意にものを蹴飛ばしたりしないように気をつけながら部屋の捜索を続ける。

クローゼットの中を開けた俺は、そこに置いてあった段ボール箱をみつめた。

それは大体50センチ四方くらいの大きな箱で、掃除機が入っていた箱だ。

オレは毎日掃除機をかけるほど綺麗好きというわけではないので、週末以外は箱の中に掃除機をしまっている。

その掃除機は現在クローゼットの端に、緩衝材と一緒に放り出されていた。

「…………」

オレはなんとも言えない気分になりながら、その箱に手をかける。

ゆっくりと蓋を開くと、空っぽの筈の箱の中は、これ以上ないほどきっちり詰まっていた。

一部の隙もない、とはこういうことを言うのかもしれない。

箱の中に、彼女が詰まっていた。

小柄な彼女とはいえ、この大きさの箱に入るには相当無理をしなければならなかったようで、かなり窮屈そうにしていた。身につけているシャツやらスカートは確実に皺になるだろう。

詰まったままオレの目を見る彼女は、微かに笑う。

「……みつかちゃった♪」

子供か。

内心突っ込んだオレは、無言で蓋を閉める。

「あれ?」

中からそんな間抜けな声が聞こえて来たが、無視してオレは蓋を滑られてクローゼットの奥に押し込む。そして、その上に小物を入れている同じくらいの大きさの箱を置いた。

「おもいよー」

くぐもった声でそんなセリフが聞こえて来たが、オレは気にせずそのままクローゼットの扉も閉めた。まだ何か言っていたような気もするが、たぶん気のせいだ。

一人になったオレは、ベッドの上に一人腰掛け、「考える人」のポーズで深く溜息を吐くのだった。

狭い所に詰められたいという性癖を持つ彼女は、今日も相変わらずだ。

軟体という言葉に聞き覚えはあるだろうか。

彼女はその体質の持ち主だった。身体を小さく纏めたり縮めたり畳んだりが得意なのだ。

その最小単位はまさに驚くほどのもので、普通の人が決して入れない小さなスペースに入り込むことが出来た。

小さく丸まれば掃除機の箱サイズに、平べったく身体を開けばテレビの箱にも入れる。

その軟体を活かして彼女は狭い所に入り、楽しんでいるのだが、それ自体はまあいい。

無論、最初に「あたし狭いところに入ってオナニーするような変態になっちゃったの!」とカミングアウトされた時は驚愕したものだが、それくらいの変態性を受け入れられないほど狭量ではないつもりだ。

しかし、こうも不意打ち的に、発作的に狭いところに入りたがる癖はどうにかならないものだろうか。

そんなオレの心中など知らず、暫くしてクローゼットの箱の中から出してあげた彼女は、よれよれになった服で笑っていた。

「ごめんねー。この掃除機の箱に入れるんじゃないかなー、って思ったらついムラっとしちゃって」

「……うん、まあ、いいんだけどよ」

元々彼女がこんな性癖を得るようになったきかっけは、実際のところオレが絡んでないわけでもないので、強くは言えない。

彼女は傍に持ち出してきた、さっきまで自分が入ってきた掃除機の箱を得意げに見せてくる。

「こんなに小さな箱にも入れるようになったよ!」

彼女は元々軟体だったが、最近はふろ上がりの入念なストレッチなどを行うようになり、より小さな箱にも入れるようになっていた。

そのストレッチがいい効果になっているのか、彼女の身体は付き合い始めた当初よりもさらに魅力的に健康的な肢体へとなっているのだが、彼氏として喜ぶべきか微妙なラインである。

「あー、まあ、すげえな」

とりあえず褒めておく。彼女は嬉しそうに顔を綻ばせた。

「ねえねえ。これなら、前から言ってたことも出来ると思わない?」

「ん? あー、なるほど。あれか」

オレは以前冗談で口にしたことを言っているのだと察して、何とも言えない気分になった。

確かにやってみたいとは言ったけど、まさか彼女がそんなに積極的にやりたがると思っていなかったからだ。

目を爛々と期待に輝かせて、彼女は声をあげる。

「じゃあ、さっそく次の休みとか、どう?」

「……おい、いいんだけどさ。本当にわかってるのか? もしもオレが何かミスしたら、お前の方はホントに命に関わるんだぞ? 極端な話、オレがちょっと転んだだけで、お前は大怪我必死だ。それをちゃんとわかってるのか?」

愚問だとは思いつつ、オレはそう問いかけるしかなかった。

彼女は少し首を傾げ、軽く頷く。

「うん。だってあなたがちゃんとあたしを守ってくれるでしょ? 全然心配してないよ」

そんな恥ずかしいことを平然と言ってくれる辺りは、本当に可愛らしい彼女だ。

変態プレイを行うという前提を無視すれば、心に来るセリフである。

とりあえず、この後めちゃくちゃセックスした。 

ある休みの日。

朝っぱらからオレの部屋に全裸の彼女が立っていた。

相変わらず均整の取れた、綺麗な身体だ。背が低いからモデル体型とは行かないが、日本人の理想的な美しさを有していると思う。胸のふくらみも腰のくびれも行き過ぎないレベルでバランスがよく、こんな女性が自分の彼女である事実が誇らしく感じる。

彼女はそのあられもあない姿のまま、入念なストレッチを行って身体を解している。動きに合わせて揺れる胸や尻に目がいってしまうのは男の性という奴だろう。

「うん、準備出来たよ!」

「……おう。トイレと水分補給は済ませたか?」

「もちろん!」

オレは頷き、早速この日のために準備したものを取り出す。

それは、大きなリュックサックだった。登山に行けるレベルでがっちりした作りをしていて、その最大積載量はなんと50キロにもなる。

いくつもの止め具があり、それによって背負う者の身体に密着させ、安定を高める作りだ。

(……大丈夫か?)

オレは改めてそれを見て自問自答する。確かに説明書には50キロまで大丈夫とあったが、それはあくまで理論値だ。実際に背負ったら想定とは違う力が加わり、破損する危険がある。

これに彼女を詰めて運ぶのだが、本当に大丈夫だろうか。

いくら彼女が50キロよりも10キロ近く軽いとはいえ、不安は不安だ。もし紐が千切れて落下でもしようものなら、彼女は約一メートルの高さから地面に落下することになる。

受け身も何も取れない状況でそうなれば、はっきりいって死にかねない。

背負っているオレが転んでも同じだ。押しつぶしてしまえば彼女が危険だし、逆にオレが押しつぶされる場合もある。

どうしたって、安全性に難はある。取り返しのつかないことになりかねない。

そういう想いを込めて彼女を見ると、彼女は期待に目を輝かせていた。そんな期待に満ち溢れた彼女を見て、オレは腹を括った。

(……よし)

覚悟を決めよう。

オレはリュックサックをベッドの上に広げる。大きく口を開け、入れる準備を整えた。底に厚手のタオルを敷く。

「いいぞ。この上に座れ。……っと、その前に」

オレはビデオカメラを回した。別にどこに売りだそうとか思っているわけではないが、記録だ。万が一の時、同意の上での行為だったと説明する材料でもある。

あとあと見直して楽しむためが主な使用用途になっているが。

「じゃあヒカリ。始めようか」

「はーい。永樹くん」

いかにも興奮してる様子で、彼女はそのタオルの上に腰を降ろした。三角座りで、俗にいう体育座りだ。

腕は足首の辺りに回し、自分で自分を抱き締めるようにギュッと小さくなる。それだけで随分コンパクトにまとまってしまった。さすがの身体の柔らかさというべきだろうか。

オレはジッパーを上げながら、彼女の身体をリュックサックの中に閉じ込めて行く。

ある程度ジッパーを上げたら、荷物の大きさに合わせてバッグの太さを変えるベルトを締め、彼女の身体を小さく絞りあげていく。

きゅっ、とベルトを締めた。

「……んっ」

身体を閉め上げられ、彼女が小さな声をあげる。それが妙になまめかしく感じた。

「大丈夫か?」

「……うん。大丈夫。でも……」

彼女は言い辛そうに、けれどはっきりと口にする。

「なんだか、縛られてるみたいで……ちょっと気持ちいいかも。なんだか、あなたに抱き締めてもらってるみたい」

「……」

オレは思わず彼女を本当に抱きしめたくなった。可愛いことを言ってくれるじゃねえか、この野郎。

「あとでいくらでも抱き締めてやるよ」

このままだとこの場で実行しかねなかったので、オレは全精神力を動員して耐えた。作業に没頭することで、気持ちを抑える。

ジッパーを彼女の肩くらいの高さまで引き上げると、彼女はリュックサックの中から首だけを出している状態だ。

「よし、頭を下げろ」

「はーい。じゃあ、よろしくね」

楽しげに笑った彼女は、大人しく顔を伏せる。

元々小柄な彼女だが、こうして小さく収まってしまうと、本当に小さくなってしまう。

少なくとも、傍から見てこのリュックサックの中に彼女が入っているなんて思わないだろう。

彼女の大きさに合わせてリュックサックの各部を調整すれば、それはより顕著になった。

「よし……」

オレはそのリュックサックの肩ベルトに腕を通し、いくつも横に走るベルトを調整して、リュックサックを密着させる。

背中越しに彼女の体温が感じられた。確かにいま彼女が自分の背負っているリュックサックの中にいるのだと、感じる。

「よし……行くか!」

オレは気合いを入れ、ゆっくりと立ち上がる。

いくら彼女が小柄で軽いとはいえ、人間一人分の重みが双肩にかかる。

重心を崩さないよう、最新の注意を払いつつ、オレは玄関へと向かう。

「じゃあヒカリ、始めようか」

「はーい、永樹くん」

大好きな彼の合図に従って、私は元気よく返事をした。

すでに心臓がドキドキいっててうるさい。

興奮しすぎだということは自覚していたけど、こればっかりはどうにもならない。

私は彼が用意してくれた小さなリュックサックを見詰める。私からしても小さなリュックで、普通にその辺を歩いている人が背負っていてもおかしくなさそうな、そんなリュックだ。

いまからその中に入って、彼に運んでもらえるのかと思うと、背筋がぞくぞくする。

私は大きく開かれたリュックサックの底面に当たるところに、腰を降ろした。彼が敷いてくれたタオルの上にお尻を置く。

(……っ)

その際、一瞬ひやっとした感覚があって、それが自分の股間から溢れたものがタオルに染み込んだのだと気付いた。思わず顔が熱くなる。

幸い、声に出さずに耐えられたおかげで、彼はそのことに気付いていないみたいだ。それは少しだけ安心する。

私は三角座りになって自分の足首を殻に寄せるように、ギュッと自分で自分の身体を抱き締めた。可能な限り小さくなるこの姿勢なら、傍から見ると本当にコンパクトにまとまってしまったはずだった。

本当はスポーツバックとか、もっと普通なら人が入れないような鞄に詰めて欲しかったのだけど、安全性を考えるとリュックサック形状の方がいいのは確かだった。

それにスポーツバックでは強度が足りないと言われてしまえば、リュックサックで妥協するのも仕方ない。

彼は全開にしていたリュックサックの口のファスナーを閉めると同時に、リュックサックに付いていたベルトを締めて、私の身体をリュックサックと一体化していく。

ひときわ強くベルトが閉められて、身体にそれが食いこむ感触が強く響いた。

「んっ……」

ただでさえ小さく纏まっている私の身体にはその衝撃を逃がす隙間がなく、思わず声に出てしまった。

「大丈夫か?」

彼が少し心配そうに問いかけてくる。

「うん、大丈夫。でも……なんだか縛られてるみたいで……ちょっと、気持ちいいかも」

一瞬言うべきかどうか迷ったけど、私は素直に感じたままを言葉にした。

「あなたに抱き締められているみたい」

言ってから言わなきゃよかったと少し後悔した。物凄く恥ずかしい。穴があったら入りたい。

あ、いまからリュックサックに入るんだからそれでいいか。なんて考えていたら。

「あとでいくらでも抱き締めてやるよ」

そんなことを甘い声で囁かれて、私はいよいよ赤面がやばいレベルになった。早くリュックサックに閉じ込めて欲しい。

彼はジッパーを私の肩くらいまで引き上げると、私に頭を下げるように言う。

「はーい。それじゃあよろしくね」

私はなるべく小さくなるように頭を伏せ、さらに小さく縮こまる。

ジッパーが私の頭の上を通り過ぎて行く感触があった。

私はほとんど余裕のない状態で、リュックサックの中に詰め込まれた。

(案外明るいんだなー)

リュックサックの中は完全な暗闇というわけではなく、布地の比較的薄いところから光が入り込んでいるからほんのりと明るかった。

閉所恐怖症でも暗所恐怖症でもないからどちらでもいいのだけど。

彼が最後の調整をした後、どうやら肩ひもに腕を通したらしく、背中に暖かいものが触れて来た。

結構布地がしっかりしたリュックサックだから明確にその感覚を捉えれたわけじゃないけど、彼がすぐ傍にいるということが伝わって来て、安心する。

彼が気合いを入れる声を出したと同時に、私は浮遊感を覚えた。どうやら彼が私を背負って立ち上がったみたいだ。

私はいよいよリュックサックに詰められたまま運ばれるのだということを感じて、胸の高鳴りが強まった。

フル装備で山に昇る人というのはこんな感覚なのかもしれない。

オレは背中に彼女の重みを感じつつ、歩いていた。

周囲には注意しつつ、とにかく目的地へと向かう。

いまのオレの肩には彼女の命が丸ごと乗っている。それを思うと、何とも言えない感情が湧く。彼女の全てを自分のものとしているような気さえする。まあ、実際それに近い状態ではるのだが。

オレは歩きながら、背中のリュックサックの中に詰めた彼女のことを考える。

彼女がいまどういう気分でいるのか、オレには想像することしか出来ないが、相当苦しいことは間違いないはずだ。

酔いに強い彼女は大丈夫だろうが、酔い易い人間なら歩く震動で酔ってしまっていることだろう。

そう考えると、こういうプレイが出来るのも彼女の体質あってのものだということだ。

彼女は限界まで身体を縮めて、ただでさえ窮屈な袋の中でさらにオレが運びやすくなるようにベルトでオレの背中に密着している。

そんな彼女のことを想像すると、本当にいい彼女を得れたと思う。

と、言っても彼女は元々こういう性癖は持っていなかった。

最初は極々普通の、普通すぎるくらいの奴だったと記憶している。いまじゃ考えられないが、昔はそれこそ普通のセックスでさえ恥ずかしがって、嫌がるレベルだった。

元々自身に自信がなかった彼女は、自分自身を晒すことを嫌がる傾向にあった。

それがいまや自分からこのプレイを望むほどのメンタルになったのだから、いいのか悪いのか。

オレとしては少し複雑な気持ちだ。まあ、別にいまの彼女が嫌いなわけじゃないから、せいぜい楽しませてもらうつもりではあるが。

彼女を背負ったまま、オレは駅前の商店街を抜け、駅に辿り着いた。少々人通りが多くて何度かぶつかりそうになり、その度に冷や汗をかいたものだ。

「さて……と」

オレは切符売り場で切符を買う。どうせばれた時はそれどころじゃないからいいと思うんだが、彼女がそれが嫌だというので、つも切符はちゃん人数分買うようにしていた。

一枚はリュックサックの小さなポケットに入れておいて、電車のホームへ向かう。

ここから電車に乗って、目的の場所へと向かうのだ。

結構時間はかかるのだが、彼女を背負っている以上、席に座るわけにもいかない。

重いものを背負ったまま立ち続けるのは辛いが、これくらいは我慢するとしよう。

オレはそう考え、目的地までの電車の旅を暫し楽しむことにした。

ゆらゆらと揺れる感覚に包まれながら、私はまどろんでいた。

窮屈な姿勢で身体を小さく小さく折り畳み、全然動けない状態で運ばれる感覚は、何度やっても飽きることなく、私を快楽の園へと導いてくれる。

(ふ、ぅ……)

狭苦しいところに押し込められて、身体がその形になってしまっていっているような、危うい感覚は癖になってしまっていて、なんとなく危ないという感覚はわかるのに、私は止められないでいた。

そういう意味で、彼には申し訳ないと思う。私が箱の中に入っているのを見つけた時の彼の何とも表現しがたい顔を思い出すと、少しだけ申し訳ない気持ちになる。

(元はといえば彼のせいだけど……)

そう思って思わず笑ってしまった。分厚い布に遮られて彼にそれは聞こえていないだろうけど、なんとなく息を潜める。

身体を丸めてじっとしていると、自分自身の鼓動が何倍にも大きく感じられた。

自分の体温がリュックの中の僅かな空間に篭って、息苦しいほどの熱を感じる。それが実にいい興奮材料になって、私は高揚する意識の中どうにもならない感覚に意識が飛びそうだった。

(ふぅ……ふう……ああ、なんて……心地いい……)

まるで母親に抱かれているような、全てを預ける安心感。彼はきっと私に気を使って、万が一にでも私を危険に晒さないように歩いているのかと思うと、本当に深い愛情を感じて、同時に私からもそれを返したいと自然に思えた。

これほど深い愛を私は他に知らない。彼より前に男の人と付き合っていなかったわけじゃないけど、その時に発した「好き」だの「愛してる」だの言ったセリフがいかに実感の伴わない安いセリフだったのかつくづく思い知る。

これほどの愛を教えてくれた彼には感謝してもしきれない。

彼にそれを少しでも返せるように頑張らなければならないと、改めて強く感じた。

でも、いまはこのプレイを楽しもう。

改めて考えると、背中のリュックサックの中に裸の女の子がいるなんて誰も想像していないだろう。まあ、私の場合は自分が入れそうな箱やリュックとか見るとついつい「あの中には誰か入ってるかな」と思うけど、さすがにそれは特殊な例だし。

普通は想像しないだろうけど、もしそれを知ったらどう思うのだろう。女の子が知ってしまったら、その子の性癖を歪めてしまうかもしれない。それはちょっと可哀想かなと思う。

(そんな子が友達になってくれたら楽しいんだろうけどなぁ)

もしそんな仲間ができたら、きっと話が盛り上がると思う。

別に友達が少ないわけじゃないけど、さすがにこのプレイのことを話せるほど全てを晒せる友達はいない。

私はそんな感じで箱詰め、袋詰めプレイの妄想に浸る。

そうして過ごしていると、酸欠気味のせいも相成って、急に興奮が高まる瞬間がある。

「んぅ、ふぅ……っ」

体の中心から熱が全身に広がっていく。胸にせり上がってきて、お尻に広がり、手足の先まで熱の快感がじわりじわりと広がる。

「ふぅ……っ、んっ……」

自由な空間がない場所で、相変わらず彼の歩く振動を全身で感じつつ、私は呻く。

静かにしないといけないということは自覚しているから、なんとか声を抑えようとするけど、それが中々難しかった。

ちょっと身じろぎしかけて、完全に今取っている体勢から動けないことを自覚し、その状況自体にまた興奮する。自分の中で快感がループし、かなり私はそれに翻弄されてしまっていた。

元からかなりドロドロではあったけど、いまや触らなくても体の感覚だけで十二分にわかるほど、私のあそこは濡れていた。熱がそこに集中している。その感覚を鋭敏に感じているだけで私は絶頂に達しそうなほどだ。

(ふっ、あぁぁっ、こえ、でちゃ……っ)

じわりじわりと、激しい絶頂がせり上がってくる。私はそれを堪えつつ、ほとんど体の自由がないことを幸いに感じていた。これほど昂ぶった状態で体が自由だったなら、きっと私は思いっきりオナニーを始めてしまっていただろうから。

それはさすがに彼に申し訳ないし、周囲の人にばれてしまったらとんでもないことになる。

私はひたすら昂り続ける体に抗いつつ、耐え続ける。

外の様子はわからないけど、歩くのが止まったところを感じると、予定していたとおり電車に乗り込んでいるみたいだった。微かに電車の走る音がしている。

いまさらだけど、私一人を背負って長距離間移動をさせているのだから、彼にはちょっと申し訳なかった。

彼はいまどんな気持ちで立っているのだろう。背中越しに彼の体温を少し感じる。それが心地いい。

「んんっ」

思わず小さな声が出てしまった。危ない危ない。いくら電車の走行音で騒がしいと言っても、下手したら周囲に聞こえてしまうかもしれない。

気を引き締めないと、そう思った時。

「なんか、変な声した?」

彼ではない誰かの声が、妙にはっきりと聞こえた。

その時、オレは冷静だった。

当たり前だ。そいつらが電車に乗って来た時から注意はしていたのだ。変に反応すればより怪しく思われることも想定済みだ。

だからオレはそいつらが騒ぎ出しても特に気にしないでいた。

「変な声ってなんだよ」

「変な声は変な声だよ。きこえなかったのか?」

大学生くらいのそいつらは、気にするほどのことでもないだろうに、しきりに声を交わしていた。全く暇な奴らほどたちの悪い奴はいない。

オレは騒がしい奴らから逃れるように、少し離れた位置に移動する。

「んぁっ」

間一髪だった。もう一度声がしていていたら、さすがに空耳では済まなかっただろう。

全く、極力声はあげるなと注意していたのに。

これはあとでお仕置きが必要だな。

たまたま声を聞いてしまった大学生たちは、すでに興味が別のところに映ったのか、違う話をし始めていた。飽きるのが早くて助かる。

ただ、最初に騒ぎ出した奴が一度こちらを見たのが気になった。まさかオレの背負っているリュックサックの中に人が入っているとは考えもつかないだろうが、オレに原因があるのではと思ったかもしれない。

そこから真実に辿り着かないよう、一応は大人として願っておこう。

一瞬だけヒヤッとした電車からオレは降りて、目的地へと向かう。

今回オレたちが目的地としたのは、街中にあるラブホテルだ。背中にいるわけだが、一人でラブホテルを利用するみたいでなんともいえない感覚だ。

「っと、その前に……」

オレは男子トイレに寄って行くことにした。

リュックサックの中にいるとはいえ、裸の女を背負っていくなんて、なんともいいいがたい背徳感だ。

オレはいったん人が周りにいないホームの端に移動する。

そこでオレは背中に向けて声をかけた。

「いまから男子便所に入るぞ」

返事はない。だが、背中にわずかに彼女が震えた感覚があった。

これで周りが見えない彼女にも想像する楽しみができたというわけだ。

彼女がどんな気持ちなのか考えつつ、オレはトイレに向かう。

気付かれた。そう思った瞬間、私の体の中で熱がより一層強く存在感を発し出し、まるで快感で自分の体がじりじりと焼かれて行くような感覚があった。

なんでだろう。私は別に露出狂というわけではないのに、人に知られたと思うだけで快感が生じるなんて。

私はそう思ったけど、感じている事実は変わらない。

なんとか声を出さないように堪えようとしたけど、彼が移動し始めたのか、その振動がきっかけになってしまった。ぞわりと快感が湧き上がり、お腹の奥から胸を上がって、喉に達する。

「んぁっ」

湧き上がる快感を堪えきれず、私は盛大に呻いてしまった。慌てて再度口を閉じたけど、声はしっかり漏れてしまったはずだ。

(しまった……大丈夫だったかな)

一応騒ぎにはなってないみたいだから、周囲にはばれなかったみたいだ。思わず安堵して息を吐く。

どうやら気づいた人たちに追求されるほどではなかったようだ。まあ、いくら妙な声を聞いたからって、大荷物の中に何が入っているかなんて、一般人には確認できないだろうけど。あからさまに危険物を抱えていたりするならともかく。

ともあれ、いまだに出されないということはひとまず最悪の状況にはならなかったみたいだ。

そのことにほっとしていると、再び彼が動き出した。どうやら目的の駅に着いたみたい。今回目的の場所はいつも利用しているラブホテルだ。彼にそこまで運び込まれる。その事実に思いを馳せるだけで、私の興奮は加速度的に上がっていく。

その時、突然はっきりとした声で彼から声がかけられた。

「いまから男子便所に入るぞ」

周りの状況がわからない私が周囲の状況を把握しやすくするために、あえての声かけ。

私は普段であれば絶対に入れない、男子トイレに全裸で入ろうとしている。ぞわぞわっと体が震えて、じわじわ湧き上がる快感が背筋を這い上がる。

いま入ったのだろうか。自分自身の匂いが充満しているから、そんな匂いはしないはずなのに、トイレの臭いがしている気がした。

これも一種の潜入なのだろうか。やろうと思えば、私はこうやって普通は入れないところにも入れるのだろう。

そう考えると、モラル的には許されないことだとはわかっていても、やってみたくなる。

私は現状と想像、どちらの背徳感も堪能しつつ、興奮しすぎたのか気が遠くなって気を失った。

急に世界が広がったように感じる。

リュックサックの蓋が開けられたのだと、ぼーっとした頭で把握する。

「おい、大丈夫か?」

彼が心配そうな声をかけてくれる。私は小さく固まっていた体をなんとか動かし、顔を上げる。

「う、ん……だいじょ、ぶ」

気づけば喉がカラカラになっていて、声がうまく出なかった。詰め込まれている間は全然感じなかったけど、やっぱりだいぶ水分を失っているみたい。汗もかくわけだし。

「とりあえずアクエリアスでも飲め」

水分補給は大事。でもまだ体はリュックサックの中にあるから、彼が甲斐甲斐しく飲ませてくれた。

「ふぅ……ありがとう」

少し息が付けて、ホッとした。

彼は軽く頷き、余ったペットボトルを机の上に置く。

ふと気づけば、そこはホテルの一室だった。

「返事がなかった時はさすがに焦ったぞ」

「ああ……ごめんね。ちょっと興奮しすぎたみたい」

「気をつけろよ」

確かにそうだ。危険なプレイをしているのだから、それなりの注意は必要だ。

「体の方はどうだ? 違和感とかはあるか?」

彼にそう聞かれて、私は自分の体の状態を把握できる限りで把握してみる。

「うん、大丈夫みたい」

「そうか。じゃあいったんそこから出す前に…… 」

そう言って彼は服を脱ぎ始める。

「一発口で抜いてもらおうか?」

彼の言葉に、私は笑みを返す。

「もちろん、いいよ」

これで少しでも彼に返せるのなら。

私はこのプレイをできるパートナーに感謝して、彼にご奉仕するのだった。

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